July.'08
フランス語で「騎士の城」を意味するクラック・デ・シュバリエは、切り立った丘の上に建つ、現存する中で最も保存状態が良い十字軍の要塞です。
11世紀にホムスの王が築いた砦を、聖地エルサレムをイスラム帝国から奪還するためにこの地を訪れた十字軍が占拠し、手を加えたもので、エジプトのサラディンの砦と共に世界遺産に登録されています。
難攻不落の城として名を馳せたものの、13世紀にマムルーク朝によって陥落、城内は貴重な十字軍美術と共に、イスラム美術で彩られる独特の様子となっています。
要塞であったことから監視塔からの見晴らしは素晴らしく、眼下にはかつて兵士の城下町であった集落と、緑豊かな穀倉地帯が広がります。
シリアには世界遺産に登録されている古代都市が3つあります。
シリアの首都ダマスカスは、旧約聖書にも登場するほど古くからその繁栄ぶりが知られ、世界最古の都市とされています。
また、市街西部にあるカシオン山はカインが世界最初の殺人を行った場所と言われています。
トルコ国境に近いアレッポは世界最大の市場の1つと言われるスークと、後年のモスクの手本となったといわれるグレート・モスク、12世紀の姿を今に残すアレッポ城など、見所の多い地です。
昔ながらの製法で作られるアレッポの石鹸は、古代エジプトより愛され続ける、世界的に有名なオリーブ石鹸です。
今も昔と変わらぬ賑わいを見せるダマスカス、アレッポとは対照的に、都市機能を殆ど失ってしまったボスラにはローマ時代の遺跡が多く残ります。
特に有名なのはほぼ完全な形で残っているローマ劇場で、その音響の良さは、現在も劇場として使用できるほどです。
紀元前1~3世紀にシルクロードの要衝として栄えたパルミラは、その美しさから「シルクロードのバラ」と称されました。
ナツメヤシの林の中に建つ世界最大規模の遺跡には、かつての栄華が偲ばれる見事な凱旋門、神殿、円形劇場、大浴場などが残ります。
中世ヨーロッパの建築にまで影響を与えたといわれる独特の建築様式美は、ゼノビア女王治世時に栄華を極めますが、ローマからの独立に失敗し陥落、女王の権力失墜と共に都市も衰退し、砂漠に埋もれる運命を辿ります。
シリア・アラブ共和国
Syrian Arab Republic
ダマスカス
アラビア語
シリア・ポンド
-7時間
サマータイム時
-6時間
夏 35~15度
冬 14~2度