September.'07
カンボジアのシンボルといっても過言ではないアンコール遺跡は、12~3世紀に全盛を極めたクメール王朝によって築かれた都市で、その繁栄ぶりはアジア最大の寺院アンコール・ワットや要塞都市アンコール・トムをはじめとする遺跡群に施された、繊細で優美な装飾からもうかがい知ることができます。
しかし、王朝がプノンペンに移る15世紀より、西洋で紹介される19世紀までは、何度も人々の記憶に登場しては忘れ去らた不遇の遺跡でもあります。
その後も内戦などで貴重な石仏などが破壊の憂き目に会っており、「危険にさらされている世界遺産」として、現在も修復、発掘が続いています。
10kmの広範囲に点在するアンコール遺跡観光の拠点として賑わうのが観光都市シェムリアップです。
アンコール以前の都市ロリュオス遺跡群、水上生活の様子が見学できる東南アジア最大の淡水湖トンレサップ湖へのアクセスもよく、観光客に人気の伝統影絵や王宮舞踊が随所で開催されているため、カンボジア観光には欠かせない存在となっています。
また、近年多数建設されたリゾートホテルによって、観光だけにとどまらない滞在型リゾート地としても注目されています。
首都・プノンペンの街並みは、そのまま近代王国の歴史の語り部でもあります。
フランス植民地時代の遺産コロニアル建築、諸外国の建築文化が融合されたカンボジア建築、ポル・ポト時代の刑務所トゥールスレン博物館などが、金色に彩られた国王ゆかりの建物の中に、まるで光と影のように混在します。
能動的栄華が残るかつての首都と、受動的発展を遂げた現代の首都との対比も、観光を楽しむポイントのひとつです。